派遣会社の営業担当が語る!コロナ前後で派遣はこう変わった!

コロナ前後で派遣はこう変わった

最終更新日 2023/12/30
執筆者:Hidenori

 
新型コロナウイルスによる感染拡大が日本中を混乱に陥れています。医療業界はもとより、すべての業種がコロナウイルスによる影響を強く受けています。人材派遣業界も当然、例外ではありません。
 
私は人材派遣会社の営業担当です。その体験から、コロナで派遣業界がどう変わったのかを記載します。また、併せてコロナの影響が少ない業界も紹介します。
 
派遣社員として勤務されている方には必ず参考になる記事だと自負しております。ぜひ最後までご覧ください。

コロナで派遣社員も超が付く就職難。派遣であっても入社難易度は2.5倍!?


結論から記載します。派遣社員の案件に対する倍率は2.5倍です。
 
コロナ騒動前は派遣案件一つに対して応募が0.8~1.0人くらいの状態でした。つまり、派遣案件数のほうが多く、少し派遣社員の売り手市場でした。
 
特に、私の周りでは開発系のエンジニアが不足していました。スキルのあるエンジニアであれば引く手あまたでした。
 
それが、コロナ騒動で一変しました。派遣案件一つの椅子を平均2.5人で取り合うようになってしまいました。
 
なぜ、そうなってしまったのでしょうか?それには大きく以下の3つの理由が考えられます。
 

派遣求人の減少理由① 企業側の派遣案件の30%の減少

コロナ騒動前の派遣案件数を100とすると今現在は70くらいです。つまり、30%案件数が減少しました。
 
平常時と比べ30%も案件数が減少した理由は私が考えるに次の通りです。

・企業側が派遣社員に外注するのではなく、社員で内製化しようとしたため
・派遣社員を教育してするコストがかかるため
・コロナ騒動での需要減のため業務量そのものが減っているため

大きく上記の3つです。
 
雇用主(企業)から見れば、派遣社員を使うことで人件費を流動費化できるのがメリットです。よって、需要減によって人件費調整の対象となるのはやむを得ない気もします。

派遣求人の減少理由➁ 企業側の買い手市場で競争激化

コロナ騒動によって、多くの企業が事業再構築の必要性に迫られています。それによって、多くの人が解雇・契約終了に追い込まれています。その結果、求職者側と企業側で次のようなことが起こっています
 

[求職者側]
・正社員でも働ける高スキル人材が派遣社員として就業を希望
・経験豊富な人材が希望時給を落としてでも就業を希望する
・コロナ騒動で退職した求職者が派遣社員として就業を希望
・とにかくすぐに働きたい求職者の急増
    
[企業側]
・即戦力のみ採用(コロナ騒動で教育が難しい)
・人材予算の縮小
・派遣として外注するのではなく自社で内製化

   
このような事態になっているため企業側の買い手市場になっています。

派遣求人の減少理由③ 派遣社員が辞めない。よって、ポストが空かない

とにかく派遣社員が辞めないのです。私の経験で、こんなに派遣社員が退職しないことは初めてです。通常、派遣社員の契約更新率は80~90%です(時期によって異なる)
 
契約更新率とは、契約(通常3カ月)を派遣社員側から望んで更新する割合です。これがコロナ騒動に入ってから私の部署では98.0%です。つまり、ほぼ全ての派遣社員が自分から退職しないのです。
 
よって、ポストに空きが出ません。その結果、求職難に拍車をかけています。

コロナで派遣就業先の面談突破も高き壁!!突破率は30%!


派遣社員として就業する前に就業先企業と“面談”をします。(私の会社では「職場見学」と言っています)
 
しかし、これは建前です。実際は就業先企業での面接が行われています。その面談の合格率は通常は50%前後です。つまり、面談に2人就業希望者をお連れすれば1人就業が決まります。
 
しかし、コロナ騒動で面談の合格率は30%にまで落ちてしまいました。理由は、企業側の見る目が厳しくなったからです。
 
事務職を例に説明すると、「リモートワークでも問題なく業務できるか」に重点を置いて見られるようになりました。具体的には、オフィスソフトの使用経験を詳細に確認されるようになりました。
 
*ただし、これは一般事務職に該当する話です。PC使用できる前提のエンジニアについては面談の合格率は変わりません。

正社員もコロナで仕事に大打撃

コロナによる外出自粛で、企業は社員の出社を制限しました。そして、オフィス通勤から在宅勤務に切り替わったのです。
 
反面、自宅作業用のPCやネットワーク環境が整っていないという状況もありました。連絡手段が固定電話のみ、書類関係は紙で保管されているといった環境もあります。
 
そのため、外出自粛中にも関わらず出社を余儀なくされたという人もいました。作業や連絡手段が整わない環境で、業務が滞るのは当然です。
 

コロナで日本中の作業が大打撃 派遣業界も例外ではない

企業に所属する正社員がそのような状況の中、派遣社員はどうでしょうか?派遣社員は契約上、PCの貸し出しやデータの持ち出しができない場合があります。つまり、派遣社員で在宅勤務ができる人は限られているということです。
 
そのような状況で派遣社員を雇うのは厳しい、という企業が増加しました。よって、契約の打ち切りや雇い止めに合ってしまうということが増えてしまったのです。人手は足りていないが、業務環境が追いついていないのが今の企業の現状です。

特にダメージを受けているのは飲食・小売り

ダメージを受けているのは飲食・小売り
特に影響を受けている業界は飲食と小売店です。派遣社員の募集数はコロナ前の60%に落ち込みました。
 
飲食業界で派遣社員として勤務している方は少ないのでは?と思ってらっしゃる方もいるかもしれません。実は、結構います。
 
特に飲食業の本部組織では派遣社員がかなりの割合でいます。売り上げデータを分析、食材を調達、社内システムを構築・保守等を行っている人です。そういった本部業務を行っていた派遣社員は軒並み契約終了となってしまいました。
 
また、小売業界も派遣社員にとって厳しい状況です。その中でも、携帯販売店や家電量販店の派遣案件の減少が顕著です。携帯販売やブロードバンド販売は、入社しやすく退職しやすい職場です。それが、退職する人が極端にすくなくなってしまいました。
 
また、店舗の営業時間短縮の影響を強く受けてしまいました。例えば次のようなイメージです。

・コロナ騒動前 09:00-22:00を3チーム(朝番・昼番・遅番)で回す
・コロナ騒動後 11:00-20:00を2チーム(朝番・遅番)で回す

その結果、必要とされる従業員数が減り派遣求人の減少に拍車をかけています。また、店舗に来るお客様の数も減ってしまったことも理由の一つです。

コロナの影響を受けている職種は総務

コロナの影響を受けている職種は総務です。総務職が派遣案件として外に出なくなりました。理由は「企業が総務を内製化しようとしている」「派遣社員が退職しない」この二つです。
 

企業が総務を内製化しようとしているとは?

「企業が総務を内製化しようとしている」について解説します。つまり、企業側が教育コストをかけることを避けたがっています。深掘りして説明します。
 
従来であれば派遣社員であっても入社時に研修をすることができました。それが、テレワーク・リモートワークの影響で難しくなりました。教育される側(派遣社員)に一定のPCスキルがないとリモート下で研修を受けることも難しいです。
 
また、リモートでの仕事のやり取りはある程度のPCスキルがないと難しいです。よって、企業は総務職の採用に及び腰になっています。

コロナ騒動の中ダメージを受けていない業種はコールセンター


コロナ騒動の影響をほぼ受けていない業種があります。コールセンターです。コロナ騒動前の求人数が100だとすると98くらいです。つまり、派遣求人は微減です。
 
コロナ騒動でもコールセンターの業務量は減っていません。むしろ、業務量が増えたと聞いています。派遣切りや契約終了でとにかく仕事が欲しい方はコールセンターにも目を向けることをおすすめします。

コロナで淘汰される人の特徴

コロナで淘汰される人の特徴
コロナで淘汰される派遣社員の特徴を2つ紹介します。
 
一つ目は「自己を律することができない人」です。リモートワーク・テレワーク等、自宅で就業する機会が格段に増えました。自宅だからさぼってもOKと思っている方は黄色信号です。
 
「teamsのオフライン状態が続いている」や「レスポンスが遅い」等は企業側(上長)から目を付けられる原因になります。派遣社員のみなさま気をつけください。
 
私の担当下でこんなことがありました。ある派遣社員がZOOM会議に定刻通り出てきませんでした。その派遣社員は家でさぼっていたのがばれてしまいました。
 
そこで、企業より派遣会社にクレームが来て、再発防止をお約束することになりました。今回の事象では、契約終了は免れました。しかし一歩間違えれば契約終了になっていました。
 
リモートワークだからと気を抜くことはやめましょう。そして、業務時間内は自己を律して、業務にあたるようにしましょう。
 
コロナで淘汰される人の特徴二つ目は、PCスキルが低い人です。
 
先述した通り、PCスキルが低いとリモートワーク下で業務を遂行できません。よって、PCスキルが低い(officeソフトが使えない)と業務に支障をきたしてしまいます。
結果として、派遣先が求める仕事ができず契約終了になってしまった方もいます。
 
リモートワーク下であっても、振られた業務はこなせるよう努力しましょう。

派遣の営業担当が提言 コロナ禍で次の仕事を見つける方法


派遣会社の営業担当である私が、コロナ禍で次の派遣先を見つける方法を3つにまとめました。ご覧ください。

コロナ禍で次の仕事を見つける方法① 「職務経歴書を充実させて企業に応募する」

企業は今まで以上に即戦力を求めています。応募する際は、職務経歴を充実させて企業に応募するようにしましょう。
 
具体的には、応募する企業と類似する業務をしてきていればその旨をしっかりと記載しましょう。また、PCスキルに自信があれば積極的にPRしていきましょう。

コロナ禍で次の仕事を見つける方法② 「コールセンターにも目を向けて!」

どうしてもすぐ仕事に就きたい方はコールセンターへの応募も視野に入れましょう。特にインバウンド(受電メイン)のコールセンターはコロナ以前と変わらず仕事があります。コールセンターは研修が充実していることも多く未経験でも応募可のところが多いです。

コロナ禍で次の仕事を見つける方法③ 「インフラ系に応募するのもあり」

インフラ系はコロナ騒動や不景気でも影響を受けづらいです。インフラ業界とは、電力、ガス、鉄道、航空等です。
 
併せて、通信インフラを提供している業種もコロナ騒動の影響をあまり受けていません。こういった企業で募集があればぜひ応募を検討してみてください。

まとめ

「派遣会社の営業担当が語る コロナ前後で派遣はこう変わった。」現役派遣会社の営業担当である私が、リアルな現場での状況をもとに記事にしました。派遣業界の厳しい状況は変わらず、まだ続くでしょう。
 
すでに雇い止めに合った、契約が終了してしまったという人も多いと思います。しかし、記事内で紹介したように、人材を求めている企業があるのも事実です。このコロナ禍では、柔軟な考えとフットワークの軽さが重要になってきます。
 
今一度自分のスキルや対応力を見直して、次の仕事に活かす努力をするチャンスです自分には向いていないと思っていた職種でも、検討を視野に入れましょう。
 
この記事は、現在派遣社員として勤務されている方、派遣社員として働きたい方に向けたものです。皆さんの今後のご活躍の参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事の執筆者

HIdenori

様々なアルバイト、ケータイショップの職を経て2010年よりネットワークエンジニアの道へ。NTTデータ・NTTドコモ・NTTcomなどの派遣社員を経験、現在もNTT系の企業で派遣社員として働いている。